アメリカには、日本にはない「感謝祭」という行事があるらしいけれど、どんな日なのかな?過ごし方も知りたい。
こんな人に、アメリカ在住歴16年の私が、年間の恒例行事である『感謝祭(サンクスギビング)』の定番料理や過ごし方、歴史を詳しく紹介します。
感謝祭の様子が見られるおすすめの映画や、アメリカを訪れたときに伝統料理が食べられるレストランについても触れているので、参考にしてくださいね。
感謝祭とは?
アメリカの恒例行事の中で最も重要だと言われているのが、『Thanksgiving Day』と呼ばれている感謝祭です。七面鳥を食べる日だということは、知っている人もいるかもしれませんね。
まずは、感謝祭の日程と過ごし方を見ていきましょう。
感謝祭の日程と過ごし方
感謝祭は、毎年11月の第4木曜日です。
家族や親戚が集まり、伝統料理を食べるのが感謝祭の過ごし方です。
「Happy Thanksgiving!」と言い合いハグをして、会話を楽しみながら伝統料理を食べます。「What are you thankful for?(感謝していることは何ですか?)」という質問も定番です。
感謝祭の前後は、空港や高速道路が大渋滞になります。感謝祭の当日はもちろん、数日前から学校やお店も休みになるところが多いです。会社でも休暇を取る人が多く、他州を訪れる人は一週間程度休む人も珍しくありません。
子どもがいる家庭は、ディナーを食べた後に、みんなでボードゲームを楽しむことも多いです。
翌日は「ブラック・フライデー」
感謝祭の翌日は、『ブラック・フライデー』と呼ばれるビッグセールがあります。
割引率が大きいので、高額な物はこの日を待って買い物をする人もいます。
人気の電気機器などは売り切れてしまうこともあるため、夜中のうちからお店に並ぶ人も多いです。近年は、感謝祭明けの月曜日は『サイバー・マンデー』と呼ばれ、オンラインショップのセールも恒例です。
感謝祭の歴史
感謝祭の由来は、イギリスからアメリカのマサチューセッツ州に入植したプルグリム・ファーザーズが初めての収穫を祝った日です。
1620年にメイフラワー号に乗って約100人がアメリカのマサチューセッツ州に入植しました。入植した年は寒さが厳しく、半数以上が命を落としたといわれています。
また、持ち込んだ食べ物の種は、気候や土壌に合わずうまく育たなかったため、食糧難にも苦しんでいました。
しかし、翌年には原住民のワンパノアグ族からトウモロコシ・カボチャ・大麦・豆類などの栽培知識を学び、収穫することができたのです。ワンパノアグ族を招待し、神の恵みに感謝しながら食事を楽しんだというのが始まりです。
アメリカの子どもたちは、学校で感謝祭の歴史を学びますよ。
感謝祭の定番料理
感謝祭は、伝統料理を楽しみます。
写真手前からハム、七面鳥、クランベリーソース、インゲン、マッシュルーム詰め、ヤム芋の甘煮、スタッフィング、クリームコーン、ご飯です。
上記の写真は、我が家の感謝祭ディナーなのでご飯付きですが、一般のアメリカ人家庭ではご飯は出てきません。(笑)
伝統料理について、もう少し詳しく紹介しますね。
Turkey(七面鳥)
感謝祭に欠かせないメインの料理がオーブンで焼いた『七面鳥の丸焼き』です。
感謝祭が近くなると、どのスーパーでも大きさの異なる七面鳥が並びます。アメリカではオーガニックにこだわる人も多いので、オーガニックの七面鳥も見かけます。
七面鳥のお腹にパン・野菜・フルーツ・ハーブなどを詰めて焼くのが特徴です。代々伝わるオリジナルのレシピがある家庭も少なくありません。
Ham(ハム)
ハムも定番です。感謝祭に限らず、クリスマスやイースターのディナーでも出されることが多いです。
大きな塊で売っているハムをオーブンで温めて切り分けるだけです。
七面鳥とハムは、クリスマスの定番料理でもありますよ。
Stuffing(スタッフィング・詰め物)
ターキーを焼くときに、お腹の中に詰めたものを使ったサイドデッシュです。詰め物とは別に調理する家庭もあります。
Mashed potatos(マッシュドポテト)
ゆでたジャガイモを潰してバターや牛乳などで伸ばてクリーミーにしたものです。アメリカでは感謝祭に限らず、日頃からよく食べられている1品です。
オーブンでジャガイモを焼いたベイクドポテトやジャガイモのグラタンを出す家庭もあります。
Gravy(グレービー)
ターキーを焼いたときに出る肉汁を使ったソースで、味付けは各家庭により異なります。ターキーやマッシュドポテトにかけて食べます。
Cranberry sauce(クランベリーソース)
クランベリーを水と砂糖で煮た物で、ターキーと一緒に食べます。お肉と甘酸っぱい果物という組み合わせは意外かもしれませんが、七面鳥がたんぱくな味なのでわりと合いますよ。
Corn(コーン)
トウモロコシの粉を使って作るコーンブレッドが定番です。水などを加えて焼くだけで作れる物も売られています。
コーンスープや、よりもどろっとした食感のクリームコーンもよく登場します。
Green beans (インゲン)
ゆでたインゲンをバターとフライドオニオンであえたものやキャッセロールにしたものなど、調理法はさまざまです。
ニンジンや芽キャベツをローストしたサイドデッシュもよく見かけます。
Candied yams(ヤム芋の甘煮)
ゆでたヤム芋にブラウンシュガーとバターを乗せてオーブンで焼いた料理です。
日本人からすると、びっくりするくらい甘いのですが、意外とクセになる味です。
Pumpkin pie(パンプキンパイ)
この時期は、どのスーパーでもパンプキンパイが山ずみされていますが、自宅で手作りする家庭も多いです。上記の写真のパンプキンパイは親戚の人の手作り。切り分けて生クリームが添えられて出されるることが多いです。
ナッツの1種であるピーカンを使った甘めのピーカンパイも人気です。
アメリカの料理に興味がある人は、こちらのレシピ本がおすすめです。どれも簡単に作れて美味しいですよ。
感謝祭の伝統料理が食べられるレストラン
感謝祭時期だけでなく、1年中伝統料理が食べられるレストランがあります。『Marie Calldener’s』というワンランク上のファミレス的な存在で、全米各地に店舗があります。
『Roast Turkey Dinner(ローストターキーディナー)』は人気で、私もよく注文します。アメリカを訪れる機会があったら、ぜひ食べてみてくださいね。
このレストランは、美味しいパイが食べられることでも有名です。
中でも『Double Cream Blueberry Pie(ダブルクリームブルーベリーパイ)』は、日本人の友人達の間でも人気です。私のお気に入りでもありますよ。
感謝祭の様子を見られる映画
感謝祭をテーマにした映画ではありませんが、感謝祭ディナーの様子が見られます。
The Blind Side(幸せの隠れ場所)
アカデミー賞で作品賞と主演女優賞にノミネートされ、サンドラ・ブロックが主演女優賞を受賞した作品です。
感動的な感謝祭のディナーのシーンが出てきます。何よりも、心温まる実話のサクセスストーリーなのが魅力です。アメフト選手マイケル・オアーの波乱万丈の半生が描かれています。
心が洗われてパワーが湧くので、私は何度か見ていますよ。
映画は単にエンターテイメントというだけでなく、アメリカ生活や英語も学ぶのにもおすすめです。私は毎日のように英語で映画やドラマを見ていたら、英語が劇的に上達しましたよ。
感謝祭はアメリカ人が楽しみにしている行事
収穫に感謝するという歴史的な意味合いは薄れていますが、アメリカ人は家族や親戚が集い食事を共にする感謝祭をとても大切にしています。
大人数を招待するときは、前日から下準備を始め、一日中キッチンで過ごすといった感じで大変ですが、家族の大切さやありがたみを再実感できる、すてきな恒例行事なのです。